ｺｺ・ｱヴァﾝ・ｼｬﾈﾙ特別版 [DVD]

ｺｺ・ｱヴァﾝ・ｼｬﾈﾙ特別版 [DVD]
出演：ｵﾄﾞﾚｲ・ﾄﾄｩ /ﾌﾞﾉﾜ・ﾎﾟｰﾙﾌﾞｰﾙﾄﾞ /ｱﾚｯｻﾝﾄﾞﾛ・ﾆﾎﾞﾗ /ﾏﾘｰ・ｼﾞﾗﾝ /ｴﾏﾆｭｴﾙ・ﾄﾞｩﾎﾞｽ
ﾜｰﾅｰ・ﾎｰﾑ・ﾋﾞﾃﾞｵ
発売日 2010-01-20



ｼｬﾈﾙになる前のｺｺ 2010-03-28
ﾌﾗﾝｽ語のavantには「以前の」と「先端の」の二通りの意味がある。



20世紀初頭の貴族界における女性は男性の玩具であり、彼女たちは男に気に入られるため、過度なｳｴｽﾄの引き締めと過剰な装飾ﾄﾞﾚｽの着用を強いられていた。



孤児院出身の不幸な生い立ちのｺｺが成功を収める為には、富族階級の男性との関係は避けて通れない道であった。

ﾌﾗﾝｽ貴族ﾊﾞﾙｻﾝの愛人として貴族社会の仲間入りはしたが、ｺｺは当時の服装を拒否し、女性でも活発に動ける締め付けの無いﾄﾞﾚｽを着続けた。

それがかえって世間の注目を浴びる事になり、そこに目をつけたのがｲｷﾞﾘｽ人実業家のｶﾍﾟﾙであった。

ｺｺとｶﾍﾟﾙはﾋﾞｼﾞﾈｽﾊﾟｰﾄﾅｰとして、恋人として関係を深めていく。

ｺｺのﾊﾟﾘ進出に際して彼は全面的な資金援助を行っている。



しかしｺｺの極端な男性依存は生涯続く･･･

この映画の時代以降、すなわち最愛のｶﾍﾟﾙを事故死で失った後も、ﾊﾟﾘ社交界を通じｳｴｽﾄﾐﾝｽﾀｰ公爵、ｺｸﾄｰ、ﾋﾟｶｿ、ｽﾄﾗヴｨﾝｽｷｰなど多彩な交際をｺｺは続けた。



ﾄﾞｲﾂ占領下ではﾅﾁｽ親衛隊少将と愛人関係になり、その庇護のもとで生活を過ごした。

この事が原因でｼｬﾈﾙは戦後、ﾌﾗﾝｽ人から対ﾅﾁｽ協力者と見なされ、ｽｲｽでの亡命生活をせざるを得なくなった。（彼女の遺体はﾌﾗﾝｽでは埋葬されず、ｽｲｽに眠る）



帰国を許されﾊﾟﾘで15年ぶりに開いた発表会は、国民感情を考慮すれば当然のごとく、散々な酷評を受け失敗に終わった。（いや、失敗させられた）

しかし安価でｼﾝﾌﾟﾙ、着心地良くﾃﾞｻﾞｲﾝ性の優れたﾄﾞﾚｽはｱﾒﾘｶでは高い評価を受け、爆発的な人気を巻き起こした。

これがﾆｭｰﾖｰｸ・ｼｬﾈﾙの誕生となり、現在でもﾖｰﾛｯﾊﾟ・ｼｬﾈﾙと一線を画した運営がなされている。



本作は羅列的な自伝映画ではなく、原点のみに焦点を絞って見事ｼｬﾈﾙの本質を描く事に成功した秀作だと思う。

ｺｺを演じたｵﾄﾞﾚｲ・ﾄﾄｩの凛とした佇まいは、女性が男性に支配されていた時代にあっても人間として時代を切り開いた意志の強さと、垣間見える女性の弱さを兼ね備えたｺｺ・ｼｬﾈﾙそのものである




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